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「責務」によってクラスが定義されるといくつかの解説書には書いてありますが、これは誤りだと私は考えています。誤りが言い過ぎだとしても、初学者に大きな誤解を与えています。\\
責務という言葉を言い換えると「しなければならないこと」「出来なければならないこと」となります。クラスを利用する側から見るとそのクラスが何を出来るか(してくれるか)は確かに重要です。\\
ですがそれはクラスを使う側から見た場合であって、設計する人はそれだけではクラスを定義出来ません。一つ例を出します。\\
「責務」によってクラスが定義されるといくつかの解説書には書いてありますが、これは誤りだと私は考えています。誤りが言い過ぎだとしても、大きな誤解を与えています。\\
責務という言葉を言い換えると
*しなければならないこと
*出来なければならないこと
となります。クラスを利用する側から見るとそのクラスが何を出来るか(してくれるか)は確かに重要です。\\
しかしそれはクラスを使う側から見た場合であって、設計する人はそれだけではクラスを定義出来ません。一つ例を出します。\\
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ジュース売りがしなければならないことは次のような事です。
ジュース売りがしなければならないのは次のような事です。
At line 19 changed one line
ジュースを買いたいという利用者側から見れば、それが人間だろうが自販機だろうが要件は満たされます。つまり責務が決まったからと言ってそのモノまでは決められないのです。\\
ジュースを買いたい購買者側から見れば、それが人間だろうが自販機だろうが要件は満たされます。つまり責務が決まったからと言ってそのモノまでは決められないのです。\\
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Javaなどでは「Interface」として定義するのが責務です。Interfaceはメソッドを規定するだけで中身は実装者任せです。まさに、「責務は決めるがモノは決めない」という機能です。ちなみに私はInterfaceのことを責務ではなく「役割」と呼ぶようにしています。
Javaなどでは「Interface」として定義するのが責務です。Interfaceはメソッドを規定するだけで中身は実装者任せです。まさに、「責務は決めるがモノは決めない」という機能です。ちなみに私は
*Interfaceのことを__役割__と呼ぶ
ようにしています。このページでは責務と役割を同義として書いています。
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[employee.png]
[employee.png]\\
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\\
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[jymmember.png]
[jymmember.png]\\
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これらをある1人の人の視点から見るとクラス図は次のようになります。\\
[human.png]\\
継承を使ってオブジェクト指向っぽい設計図になったように見えますが、果たして本当にそうでしょうか?\\
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これらをある1人の人の視点から見るとクラス図は次のようになります。
[human.png]
次の図で考えてみます。\\
[inherit_human.png]\\
人間を継承する形で従業員とジムの会員を定義すると「食事を採る」という処理が継承されますが、従業員とジムの会員の振る舞いとして考えた場合これは不要です。このような矛盾がなぜ起きたのでしょうか?\\
よく考えてみるとこれらの中でモノと呼べるのは人間だけです。従業員やジムの会員は、その人がその時その時に負っている役割に過ぎません。責務と言い換えてもいいでしょう。会社の中で負っているのが従業員という役割、ジムに行けば会員という役割に変わりますが、実体としては同じ人です。\\
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\\
ですがよく考えてみるとこれらの中でモノと呼べるのは人間だけです。従業員やジムの会員は、その人がその時その時に負っている役割に過ぎません。責務と言い換えてもいいでしょう。会社の中で負っているのが従業員という役割、ジムに行けば会員という役割に変わりますが、実体としては同じ人です。\\
At line 38 changed one line
[human_interface.png]
[human_interface.png]\\
人間の役割としての従業員とジムの会員をinterfaceとして定義します。それぞれの役割を負っている時だけその役割に必要な振る舞いのみを外部から利用出来ます。これで矛盾は解消されます。\\
At line 40 changed 3 lines
\\
人事システムを設計する際に「ジムの会員」という役割を考慮する必要は現実にはないと思います。人事システムから見れば「人間=従業員」という構図は成り立つので、そのシステムで従業員をクラスとして定義することは正しいと思います。\\
しかしそれはシステム設計上の便宜性から来るものであることを忘れてはいけません。役割をクラスと勘違いした結果の上記のような誤った設計/実装を大変多く見かけます。\\
人事システムを設計する際に「ジムの会員」という役割を考慮する必要は現実にはないと思います。人事システムから見れば「人間=従業員」という構図は成り立つので、従業員をクラスとして定義することは人事システム設計上正しいと思います。\\
しかしそれはシステム設計上便宜的に行っている省略であることを忘れてはいけません。役割(責務)をクラスと勘違いした結果の上記のような誤った設計/実装を大変多く見かけます。\\
At line 45 changed 2 lines
責務というのは英語の'responsibility'の訳です。一般的には「責任」と訳します。\\
オブジェクト(またはクラス)が持つ責務として世間にある解説では、
責務というのは英語の'responsibility'の訳です。通常の訳では「責任」です。\\
オブジェクト(またはクラス)が持つ責務として世間で見かける解説には、
At line 50 changed 2 lines
業務に必要な処理というのはジュース売りを例に取ると「注文を聞く」などがそれです。これはその通りそのクラスが負うべき責務です。\\
「オブジェクトが持っている情報を通知すること」は内部にデータ構造がないと不可能なので、データ構造に依存するかのような説明に見えます。しかし、情報を通知するということはどんなオブジェクトにも必要な処理であって特定の役割とは無関係です。これをオブジェクトの責務と呼ぶのは勘違いだと私は考えます。オブジェクト指向においてオブジェクトに与えられている機能と言うべきでしょう。\\
ジュース売りの例の中で業務に必要な処理というのは「注文を聞く」などです。これはその通りそのクラスが負うべき責務です。しかしそのクラス(もの)が何であるか、つまりデータ構造を規定できないことは上記で書いたとおりです。\\
「オブジェクトが持っている情報を通知すること」は内部にデータ構造がないと不可能なので、データ構造に依存するかのような説明に見えます。しかし、情報を通知するというのはどんなオブジェクトにも必要な処理であって、特定の役割とは無関係です。これをオブジェクトの責務と呼ぶのは勘違いだと私は考えます。オブジェクト指向においてオブジェクトに与えられている機能と言うべきでしょう。\\
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At line 66 changed 2 lines
上記で書いたように「人間」は複数の役割を負うことがあります。それと同じようにシステム設計の中で見つけたクラスが複数の役割を負うことはよくあることです。\\
ある役割が負うべき機能や処理が増えた場合、その役割(Interface)だけを変更した上で、役割を請け負っている実体つまりクラスを変更します。同じクラスが別の役割も負っている場合はその役割の変更に応じて再度修正すべきです。\\
前々項で書いたように「人間」は複数の役割を負うことがあります。それと同じようにシステム設計の中で見つけたクラスが複数の役割を負うことはよくあることです。\\
ある一つの役割が負うべき機能や処理が増えた場合、その役割(interface)だけを変更した上で、役割を請け負っている実体つまりクラスを変更します。同じクラスが別の役割も負っている場合はその役割の変更に応じて再度修正すべきです。\\
At line 72 changed one line
一方でこれらの伝票をRDBに保存したいような場合は、「RDBに読み書きする」というシステム的な役割も負います。
一方で、これらの伝票をRDBに保存したいような場合は「RDBを読み書きする」というシステム的な役割も負います。
At line 78 changed one line
責務という言葉の定義にデータ構造への依存性を含むのかによってここでの議論は変わってきますが、含まない立場の私からは誤りに見えます。
「明細の一覧を扱う」・「RDBを読み書きする」それぞれの役割において変更が発生すれば、それぞれに対する修正が必要となるのは自明です。\\
この例においてRDBを読み書きする役割を別のクラスに分けてしまうとそのクラスはデータを持たない処理だけのクラスになってしまい、
#データ構造としての伝票クラス
#RDBを読み書きする処理のクラス
の2つに結局分割されることになり、データ構造と処理を一体化させるためのクラスという原理から外れてしまいます。\\
ただし、同じ伝票クラスの情報を「テキストファイルにも出力したい」という新たな要件が出てくると新たなメソッドを伝票クラスに実装する必要がまた出て来ます。その次はネットワークに出力したい等も考えられ、出力媒体が出てくるたびに処理を追加する必要が出て来ます。この問題への対応は別ページで書きます。\\
At line 82 changed one line
クラスを設計する際、その基となるのは顧客からの要求です。要件と呼ばれます。この要件は、「システムでxxxがしたい」「システムを使ってmmmが出来るようになりたい」という実務処理の記述です。つまりシステムの役割を列挙したものです。\\
クラスを設計する際、その基となるのは顧客からの要求です。要件と呼ばれます。この要件は、
*システムでxxxがしたい
*システムを使ってmmmが出来るようになりたい
という実務処理の記述です。裏返すと、
*システムはxxxが出来なければならない
*システムはmmmというサービスを提供しなければならない
となります。つまりシステムの役割・責務を列挙したものです。\\
At line 84 changed one line
ですが、オブジェクト指向に不慣れな設計者・実装者はその要件(処理)だけを頼りに開発してしまいます。データ構造を考えずに処理だけを追いかけてしまうのです。これが誤りの根本です。
しかし、オブジェクト指向に不慣れな設計者・実装者はその要件(処理)だけを頼りに開発してしまいます。
*データ構造を考えずに処理だけを追いかけてしまう
のです。これが誤りの根本です。
At line 90 changed one line
次 [何をクラスにするのか]
!!コラム
責務という言葉の解釈によってこのページで書いたことは変わってくるとは思っています。つまり責務という意味の中に
*データ構造を持つことを含むかどうか
です。\\
データ構造を持つこと自体はクラスとしての機能であって特定の目的のために定義したものではありません。クラスを決めるための責務に機能自体を含めるのは私の感覚にはハマらないのです。\\
「責務」あるいは「責任」以外の意味がresponsibilityという英語にひょっとしてあるのかも知れません。そのモノの状態を含むというニュアンスです。私は英語ネイティブではないため判断付きませんが、日常会話で使う場合に「責任」以上の意味で聞こえた経験はありません。仮にモノの状態を含むのだとしても、責務や役割を規定することに頼らずにクラスを設計していくことが出来ます。\\
一方で、
*責務を全うするためにはデータ構造が必要となる
とは言えます。しかしだからと言って、責務を考えた結果だけでデータ構造を導き出せるとは私の経験上思えません。\\
責務という言葉が一人歩きして、データ構造と処理を結局分離してしまっているシステムを多数見ています。「すること」に着目してしまっているからです。これは過去の手法への回帰にはなっても、進歩には決してならないと感じています。\\
プログラムの開発手法は次のように変遷してきたと思います。この遷移は歴史的検証をしたものではありませんが、大まかにはこうではないでしょうか。
#手続き型
#構造化
#データ中心主義
#オブジェクト指向
データ中心主義の時代を経てオブジェクト指向が生まれてきたのに、データ中心で設計するケースが世間では未だに少ないのは非常に残念です。\\
「することに着目せずに」クラスを見つけることは出来ます。そのことを次ページ以降に書きたいと思います。\\
次: [クラスにするもの]
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30 29-8-2016 00:23 4.983 kB ytp to previous
29 23-5-2014 17:40 4.934 kB ytp to previous | to last
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24 23-2-2011 01:21 4.888 kB ytp to previous | to last 何をクラスにするのか ==> クラスにするもの
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